地域支援事業の概要と役割をまとめました

日本は現在超高齢社会に突入しており、平成28年の時点において、総人口1億2693万人の内、65歳以上の高齢者人口は3459万人となり、高齢化率も27.3%となっています。最も大きな問題は、そのスピードです。高齢化が進むスピードは、世界でも類を見ないほど速く、このままいけば2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています。

地域支援事業の創設と目的

そのような日本の現状の中で、膨らみ続ける社会保障費の抑制を図りつつも、要介護状態になった場合において、住み慣れた地域において自立した日常生活を営むことができるように、地域における包括的なケアシステムの構築が求められています。『地域支援事業』は、2005年介護保険改正により、予防重視型システムへの転換の一環として介護保険制度に新たに位置づけられたものです。そして、直近では2014年で改正されました。

以下の表はその改正の概要です。

地域支援事業の実施主体は保険者である市町村ですが、保険給付とは別枠の事業として行われます。地域支援事業は、介護サービスや介護予防サービスと同じく、介護保険制度の重要な要素です。

何事も予防が重要となるこれからの日本において、地域支援事業はその役割が益々重要視されてくるでしょう。僕もリハビリの現場で日々感じていることですが、介護が必要となる一歩手前で予防的に介入していくということは、要介護状態になった後から改善させていく努力を考えると、何倍も容易であり、トータルでのコストもかからないのです。

 地域支援事業の3大事業

地域支援事業をまとめると、以下のようになります。

地域支援事業の種類【必須事業】
➀介護予防・日常生活支援総合事業
➁包括的支援事業
【任意】
➂任意事業

1:介護予防・日常生活支援総合事業

介護予防・日常生活支援総合事業とは、自立支援に関する取り組みを推進するために、要介護認定に至らない要支援者や、今後要介護状態に陥る可能性のある方を含めた全ての65歳以上の高齢者に対して行われます。介護保険を使ったサービスを受けるまでもない自立した高齢者に関しても、将来的に要介護となる可能性は全ての方にあるわけですので、予め対策を立てる必要があるわけです。そして、それは地域の中において、地域の助け合いの精神のもとに、それぞれの実情に合わせて臨機応変に対応していく必要があります。

介護予防事業は、以前は要介護になる可能性の高い高齢者に向けた“二次予防事業”と、それ以外の全ての高齢者に向けた“一次予防事業”に分かれていましたが、介護予防・日常生活支援総合事業(以下総合事業)として、以下の2つに区分が変更になりました。

  1. 介護予防・生活支援サービス事業(第1号事業)
  2. 一般介護予防事業

介護予防・生活支援サービス事業(以下第一号事業)

具体的には、要支援者と、基本チェックリストによる該当者です。第一号事業に関しては、全ての高齢者が対象になるわけではありません。

予防給付から移行した訪問介護サービス・通所介護サービスなどは、第一号事業として、総合事業の一部に組み込まれました。この中には、訪問型サービス・通所型サービス・生活支援サービス・介護予防支援事業(ケアマネジメント)があります。

一般介護予防事業

一般介護予防事業は、従来から存在した介護予防事業から移行して総合事業に位置付けられたものです。対象者は、第一号被保険者である65歳以上の全ての高齢者です。

これは、以下の5つの事業に分類されています。

  • 介護予防把握事業
  • 介護予防普及啓発事業
  • 地域介護予防活動支援事業
  • 一般介護予防事評価事業
  • 地域リハビリテーション活動支援事業

2:包括的支援事業

対象者は、第一号被保険者と第二号被保険者、そしてその関係者です。

包括的支援事業を実施する中核拠点は、地域包括支援センターです。市町村は、包括的支援事業を地域包括支援センターに委託することができます。そのため、地域包括支援センターは、地域の高齢者の保健医療の向上および福祉の増進を目的に、それを包括的に支援することを目的として全国の市町村に設置されています。また、その中には、社会福祉士・主任ケアマネジャー・保健師といった専門職者が配置されています。

包括的支援事業には、以下の事業があります。

  • 総合相談支援業務
  • 介護予防ケアマネジメント業務
  • 権利擁護業務
  • 地域ケア会議
  • 包括的・継続的マネジメント業務
  • 在宅医療・介護連携推進事業
  • 生活支援体制整備事業
  • 認知症総合支援事業 など

3:任意事業

任意事業の対象者も、包括的支援事業と同じく、第一号被保険者と第二号被保険者や介護者などです。任意事業とは、地域支援事業の趣旨に沿って、市町村の判断によって、地域の実情に応じて独自の発想で実施されます。

介護保険法によってが、以下の事業として定められています。

  • 介護給付等費用適正化事業
  • 家族介護支援事業
  • その他の事業

たとえば、家族に対する介護教室であったり、ボランティアによる認知症高齢者の見守り支援であったり、ケアプランのチェックなどを挙げられます。

地域支援事業の財源

地域支援事業の財源構成は、介護予防・日常生活支援予防事業と、包括的支援事業・任意事業によって異なります。

介護支援予防・日常生活支援総合事業においては、50%を保険料、50%を公費で負担します。保険料負担割合は、第一号被保険者による保険料平均22%、第二号被保険者による保険料28%です。公費の負担割合は、市町村12,5%、都道府県12,5%、国25%です。

介護予防・日常生活支援総合事業
保険料負担第一号保険料22%
第二号保険料28%
公費負担市町村12.5%
都道府県12.5%
25%

※第一号保険料での負担割合に関しては、平均値です(調整交付金が国から交付される場合もあるため)。

 

包括的支援事業及び任意事業に要する費用は、22%を保険料、残り全て78%を公費で負担します。その割合は、第一号保険料22%、市町村19,5%、都道府県19,5%、国39%です。ここで特徴的なのは、包括的支援事業及び任意事業に関しては、第二号保険料の負担がないということです。

包括的支援事業
任意事業
保険料負担第一号保険料22%
第二号保険料無し
公費負担市町村19,5%
都道府県19,5%
39%