【理学療法士の現状】について多くの方が誤解している2つのこと

最近、研修会などで会う理学療法士などと話しをしていると、よくこんな話を耳にします。

  • 「リハビリの業界は将来性がない」
  • 「求人先がだんだん減ってきた」
  • 「昇給していかなくてキツイ」
  • 「ボーナスや手当が減額された」

本当にそうなのでしょうか?まずは、現状を把握するためのお手伝いができれば幸いです。

少子高齢化は多面的にリハビリ業界に影響を与えている

みなさんもご承知の通り、少子高齢化が進んでおり、膨れ上がる社会保障費とは反対に生産年齢人口が減少している影響で、その財源の確保が難しくなってきております。

一般家庭で例えると、『稼いでいた大黒柱が病気で倒れたのに、家族に働く人がいなくて家計が大変』といったところでしょうか。まずいですよね。

 

その影響は当然リハビリの世界にも大きな影響を与えております。

需要の増加

これは我々からすればありがたいことです。高齢化のピークはおおよそ2040年頃だろうと言われています。ということは、そこまでは理学療法士の需要自体が急に落ち込むことはありません。

今から23年後のことですので、単純計算すると、現在37歳の人が60歳定年(定年は70歳くらいになっているかもしれませんが)までは需要が増え続ける計算になります。

需要の多面化

臨床10年目以上の方は分かると思いますが、少し前までは、理学療法士の求人は病院が半数以上を占めていた時期がありました。そして介護保険領域での求人の方が少ない状態でした。

現在はその割合は逆転しており、病院の求人は減少し、介護保険領域の求人が過半数となっています。

これは、病院の需要が減ったのではなく、介護保険の運用の拡大に伴い、そちらの需要が伸びているので相対的にこのような結果となっているのでしょう。

 増えてきた資格取得者

近年では、毎年大体1万人くらいの理学療法士が誕生しています。需要が増加しているのだから、増えるのは当然の流れではあります。

本人にその気がなくても、テレビで高齢化のニュースを頻繁にみているお母さんが、「食いっぱぐれなさそうだから、あんたやりなよ」と勧めている姿が目に浮かびます。

 

ここまでを背景として理解しておいていただく必要があります。

それでは本題です。

 

理学療法士の現状に対する誤解

【1】給料水準が低いという誤解

僕の仲の良い友人で、PC周辺機器を扱う商社に勤務している方がいます。年収はおおよそ550万円程度のようです。ちなみに僕は400万円ちょいです。どちらも30代前半です。

「やっぱり理学療法士給料低いじゃん」

一見そう思われるのは当然です。でも少し待ってください。友人はいつも「代われるならお前と代わりたいわ」と言っています。

彼が言うには、自分は残業で自宅に帰るのは夜11時を毎日越える。休日出勤もある。それに出張でクタクタだと。

こういうものは全て手当が付きます。

一方、理学療法士はどうでしょうか。

職場によっても多少異なりますが、勉強会などを除いて残業で深夜に帰ることはまずないでしょう。せいぜいカルテを書く作業くらいです。僕は基本的には残業はありません。休日出勤もありません。出張もありません。

もしそれらがあると仮定した場合どうでしょうか。

平均的な残業代を加味して、私の場合の年収を計算してみます。

まず、こちらの統計を参考に、毎月の残業時間は平均の47時間としましょう。

 

次に、この計算式を元に賃金計算をします。

僕の場合は1時間の残業代2200円でした。

47時間×2200円=約10万円です。

年収換算では120万円ですね。

それに休日出勤や出張手当が加わるわけです。計算がややこしくなるのでこれは無しということで勘弁して下さい。

 

もうお分かりいただけたかと思います。僕の年収400万円というのにこれらを加えれば、最低でも年収520万円となります。これで

友人と大差がなくなりました。

「いや、自分は月47時間程度の残業代込みで今の君くらいの年収だ」という方の中で給料に重点を置いている方は、転職をお考えください。

 

何が言いたいのかと言うと、僕たちはお金の代わりに自由時間が沢山あるということです。その時間を使って副業するも良し、子供との時間を過ごすのも良し、趣味に使うのも良しです。この自由な感覚は、何にも代えられないものです。

 

しかしそれでも、理学療法士の年収が伸び悩んでいるのは事実です。

なぜかを次の項目でお話します。

【2】誰がやっても同じだからという誤解

よく巷の理学療法士がこんなことを言うことがあります。

「診療報酬は一緒なのだから、20分1単位でどの理学療法士がやっても一緒。」

「誰がやっても同じだから、いつか年配の給料の高い人間からクビになる時代がくる。」

この意見は非常に多く聞かれます。

おそらく、多くの病院や施設でも同じように考える方が大勢おり、その考え方自体が、伝染病のように蔓延しており、理学療法士の年収が伸び悩んでいる大きな要因です。誰がやっても同じであれば、採用側からしたらこんな都合の良いことはありません。毎年続々と誕生する理学療法士の存在をみて余裕が生まれることでしょう。

 

本当に誰がやっても同じなのでしょうか。全くそのようなことはありません。

今後のリハビリ業界では、誰がやっても同じ結果になるような分野はどんどん廃れていきます。というよりも、結果を出せない分野や結果の出せない理学療法士が廃れていくと言い換えた方が良いでしょう。

なぜなら国の財源は決められており、その中でより効果のある少子高齢化対策をしていかなければいけないのは急務だからです。

現実に、平成28年度の診療報酬改定にて、回復期リハビリテーション病棟を有する保険医療機関については、リハビリテーションの実績が一定の水準に達しない場合、1日に6単位までに上限が決められました。簡単に言えば、【効果が出ていないリハビリは報酬を下げます】ということです。

 

これでもまだ、リハビリは誰がやっても同じと言えるでしょうか。

まとめ

現在の状況は、悲観すべきでもありませんが、手放しで喜べるものでもないようです。これからは、本気で個々の理学療法士が自分の生き方やキャリアを考えていく必要があるでしょう。