三角筋(さんかくきん)の起始停止・神経支配・作用とリハビリ応用について

三角筋の各部についての基本的な情報はこちらです。

三角筋前部(鎖骨部)

起始:鎖骨の外側1/3

停止:上腕骨の三角筋粗面

神経支配:腋窩神経(C5・C6)

肩関節への作用:屈曲・内旋・内転

三角筋中部(肩峰部)

起始:肩峰
停止:上腕骨の三角筋粗面
神経支配:腋窩神経(C5・C6)
肩関節への作用:外転
三角筋後部(肩甲棘部)
起始:肩甲棘
停止:上腕骨の三角筋粗面
神経支配:腋窩神経(C5・C6)
肩関節への作用:伸展・外旋・内転

 

三角筋について、さらに詳しく知る場合には、以下の目次より進んで下さい。

英語表記

三角筋の英語表記は、以下の通りです。

Deltoid muscle

略してDMと呼びます。

三角筋の外転・内転作用について

三角筋はその名の通り、逆三角形の筋肉で、肩甲骨と鎖骨を底辺として、三角形の頂点が三角筋粗面に停止します。

『三角筋=肩の屈曲・外転・伸展筋』というように単純に考えられやすいですが、前部・中部・後部によって、肢位による特徴の違いまで覚えておくと良いでしょう。

三角筋中部(肩峰部)

下垂位において、三角筋の中部は肩の強力な外転筋として、全可動域に渡り作用します。

三角筋中部は肩がどの外転角度にあっても、上腕の位置を安定させることが可能です。そのための肩外転時には、腱板筋と共同して動くことが必要になります。

まず、棘上筋による骨頭を関節窩に押し付ける力により、支点が形成されることで、三角筋中部は効率的に肩を外転させていくことが可能となります。

残りの棘下筋小円筋肩甲下筋は、下方へ牽引することで関節の回転軸の変位を防ぎます。

後ろを向いている図です

三角筋前部(鎖骨部)・後部 (肩甲棘部)

三角筋の前部後部は、60°以下の外転作用においては中部に対して拮抗筋として作用します。要するに、外転角度60°以下では前部と後部は内転筋として作用するこということです。

下の図をご覧ください。

肩外転30°

この図では、三角筋後部を赤の矢印で示しています。肩外転60°以下では、肩回転軸よりも三角筋後部のベクトルが下方にあるために、内転のためのモーメントアームが生まれます。

 

60°以上の外転位では、前部後部は、中部の外転を補助するために働きます。外転角度60°を超えると、前部と後部は一転して、外転筋として作用するということです。

下の図をご覧ください。

肩外転60°

この図では、三角筋後部である赤の矢印は、肩外転60°を境に肩回転軸よりも上方に移動するのが分かります。このため、60°以上の外転位においては、三角筋後部のベクトルは、外転に作用します。

 

ここでは、三角筋後部を例に出しましたが、三角筋前部も同じメカニズムによって、後部同様に60°を境に外転作用を有することになります。

 触診

三角筋の触診は、前部・中部・後部に分けて行います。方法は以下の通りです。

鎖骨の外側1/3より遠位に指を置いた状態で、肩関節の屈曲させることで、三角筋前部の収縮を感じ取れます。
肩峰より遠位に指を置いた状態で、肩関節の外転させることで、三角筋中部の収縮を感じ取れます。
肩甲棘遠位に指を置いた状態で、肩関節を伸展させることで、三角筋後部の収縮を感じ取れます。

リハビリへの応用

三角筋筋力に必要な僧帽筋機能

肩関節の屈曲・外転・伸展で、三角筋の筋力を評価する際には、一般的にMMT(徒手筋力検査)を使うわけですが、その際に注意すべきことがあります。

それは、固定筋がしっかりと働いているかということです。

例えば、建物は土台がしっかりしていることで安定するように、三角筋も付着部である鎖骨や肩甲骨が固定されていることで、はじめて安定して動くことができます。

その中でも特に重要なのは、僧帽筋です。

僧帽筋上部と三角筋前部は、鎖骨外側1/3の部分を介して互いに引っ張り合う関係にあります。

また、僧帽筋中部と三角筋中部は、肩峰や肩甲棘を介して互いに引き合う関係にあります。

最後に、僧帽筋下部と三角筋後部は、肩甲骨自体を介して引っ張り合う関係にあります。

僧帽筋は脊柱(棘突起など)から起始しているわけですから、僧帽筋が鎖骨・肩甲骨を固定することで、三角筋前部は効果的に安定して働くことができるようになります。

もちろん、僧帽筋以外にも肩甲骨の固定筋は存在するわけですが、この両者のはとても関連が強いということを覚えておく必要があります。よって、三角筋の筋力評価の際には、僧帽筋の筋力評価も合わせて行うと良いでしょう。

まとめ

三角筋は、肩関節を強力に動かすことのできる作用を持つ筋肉です。

逆に言えば、三角筋機能不全が起きれば、腱板筋などに頼らざるを得なくなり、それが長期間に渡れば二次的な機能障害が起きる可能性が高くなるでしょう。

三角筋のトレーニングや評価には、肩甲骨や鎖骨の動きも合わせた視点で見ていくと良いかと思われます。