ダイナミックストレッチの効果について【バリスティックストレッチとの違い】

ポピュラーなストレッチを2つ挙げるとすれば、スタティックストレッチ(static strech)とダイナミックストレッチ(dynamic strech)が最初に思い浮かびます。

両者は静的ストレッチ動的ストレッチとも呼ばれる通り、その方法や目的が異なります。

ダイナミックストレッチと同じ動的ストレッチの中には、バリスティックストレッチ(ballistic strech)というものもあります。

ここでは、ダイナミックストレッチを中心に、動的ストレッチの基礎についてご紹介させていただきます。

ストレッチ全般については、こちらを参考にしてください。

ストレッチの効果と種類について。【何のためにストレッチをするのか?】

動的ストレッチの特徴

ダイナミックストレッチとは?

スタティックストレッチが、『ゆっくりと筋肉を伸張していく方法』であることに比べて、ダイナミックストレッチは『収縮と伸長を繰り返すことで筋肉を伸ばしていく方法』と言えます。

バリスティックストレッチとは?

一方、同じ動的ストレッチの仲間であるバリスティックストレッチとは、『伸長の最後で“反動”を使うもの』のことです。

実際のダイナミックストレッチ

動的ストレッチで有名なのは、「ラジオ体操」です。「ラジオ体操」には関節最終域での反動を使うものも入っていますので、厳密にはダイナミックストレッチだけではなく、バリスティックストレッチも含まれています。

ダイナミックストレッチ動画としては、こちらの動画が非常に分かりやすいです。

実際のバリスティックストレッチ

バリスティックストレッチの動画はこちらをご参照下さい。

ダイナミックストレッチに比べて、関節最終域での反動を利用しているのが分かります。

動的ストレッチのメリットとデメリット

動的ストレッチのメリット

まずスタティック(静的)ストレッチに比較した、動的ストレッチのメリットを挙げてみましょう。

  • ウォーミングアップに適している
  • 運動パフォーマンスが向上する

これらは、スタティックストレッチには無い利点です。

スタティックストレッチの効果について【基礎と応用】

動的ストレッチのデメリット

動的ストレッチでは、スタティックストレッチにくらべて筋肉・腱を痛めやすいデメリットがあります。

特に、バリスティックストレッチでは反動をつけるために伸張反射が引き起こされやすく、筋損傷の誘因になりやすいので注意が必要です。

動的ストレッチの強度や頻度については、その内的・外的なコンディションに配慮するべきです。

ウォーミングアップとしての動的ストレッチ

運動に必要な筋緊張

『筋肉が伸びる』というのは、必ずしもスポーツにとっては良いことばかりではありません。

筋肉は、一定の張力(静止張力)を常に持っており、その張力により姿勢やバランスを保っています。さらに、ある程度の張力が無ければ、最大の運動パフォーマンスを出すことができません。

例えば、腕相撲を思い出してみて下さい。

有利に腕相撲で力を発揮できるための、肘の角度というのは決まっています。肘が伸び切っているような状態から相手に勝つのは難しいでしょう。

これと同じように、筋肉にある程度の張力が無ければ、最大限のパフォーマンスを発揮することは難しいのです。

スタティックストレッチはパフォーマンスの低下を招く

同じストレッチでも、スタティックストレッチは、上記のような運動に必要な筋緊張を緩め過ぎてしまいます。

そのことから、アスリートのほとんどの方はスタティックストレッチを行うことはありません。

よって、運動前にはダイナミックストレッチを中心に実施する方が良いでしょう。

ダイナミックストレッチの効果

ダイナミックストレッチの具体的な効果は次の通りです。

  • 筋肉の柔軟性改善
  • ケガの予防
  • 筋温の上昇

なぜこのような効果があるのかを、見ていきましょう。

相反抑制

ダイナミックストレッチでは、関節最終域まで反動を用いずに大きく動かすことで効果が出ます。

それは、最終域で相反抑制効果が表れるからです。

相反抑制は神経生理学的な作用であり難解ですが、こちらの動画が非常に参考になります。

ダイナミックストレッチによる筋肉の柔軟性改善は、この相反抑制で説明ができます。

筋腱移行部の柔軟性向上

陸上競技やサッカー、野球などをやっていた方の中には、『肉離れ』を経験した方もいるのではないでしょうか。このケガの代表格である『肉離れ』は、筋腱移行部付近で起きると言われています。

急激に筋肉が引き伸ばされて起きるダメージは、筋肉と腱のちょうど繋ぎ目のあたりで起きやすい傾向があります。

ダイナミックストレッチでは、大きく関節を動かす方法を取ることから、その筋腱移行部のストレッチにも適しています。

筋温の上昇

体内の熱産生で、最も重要な役割を担っているのが筋肉です。筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことで、そこに熱が生まれ、体温調節に役立っています。

一方で、筋温(筋肉の温度)が低いと筋肉の柔軟性も低下します。

筋肉の温度が低くなるということは、筋肉内の血管が収縮してしまうことにつながります。そうなれば、酸素不足に陥ることで筋肉は縮んだままの状態になってしまいます。

そのメカニズムを少し詳細に記載します。興味のない方は飛ばしてください。

 筋肉が収縮・弛緩する際は大きなエネルギーが必要であり、そのエネルギー源はATP(アデノシン三リン酸)によって供給される。

  1. 運動神経の興奮により、カルシウムイオン(Ca²⁺)が放出される。
  2. カルシウムイオン(Ca²⁺)がトロポニンに作用することで、アクチンとミオシンは結合する。
  3. ミオシンがATPを分解することで生じるエネルギーが、アクチンとミオシンの滑走を起こし、筋肉は収縮する。
  4. ATPがカルシウムイオン(Ca²⁺)を引き離す(能動輸送)ことで、アクチンとミオシンは連結が外れて筋肉は弛緩する。
  5. ATPの補充には、酸素が必要である。
  6. 酸素不足の結果、アクチンとミオシンの連結が外れず、筋肉は弛緩できなくなる。

ダイナミックストレッチでは、深部体温が増加するため、筋肉内の血管は拡張しやすくなります。

それにより、酸素がうまく循環するようになり、筋肉の柔軟性も高まりやすくなるという好循環が生まれる可能性があります。

バリスティックストレッチの効果

バリスティックストレッチにより、運動の切り替えが早くなる

バリスティックストレッチは動的ストレッチの特性に加えて、動作の切り替えが求められるスポーツの前に行うとさらに有効です。

伸張反射をうまく利用できれば、特定の運動パフォーマンス向上につながることもあります。

しかし、バリスティックストレッチは前述したようにリスクの高いストレッチ方法なので、十分にコンディションに配慮した上で行うようにして下さい。

まとめ

ストレッチにはいくつもの種類があり、それぞれに特徴があります。

動的ストレッチを用いる際には、相応のリスクもありますがメリットも多くあるので、特にスポーツ前のウォーミングアップとして活用してみて下さい。