半月板損傷のメカニズム(受傷機転)について

膝関節のクッションの役割を持つ半月板ですが、過剰な負荷や繰り返しの刺激により損傷することがあります。

半月板損傷のメカニズムを理解することは、その後のリハビリを効果的に進める上で重要です。また再受傷予防のためのリスク管理にもなります。

半月板損傷の原因

半月板損傷には、大きく分けて次の3種類のパターンがあります。

  1. スポーツ外傷によるもの
  2. 加齢変性によるもの
  3. 円板状半月板によるもの

スポーツ外傷によるもの

まず、バスケットボールやサッカー、スキーといったスポーツによって、一度の外力によって生じる急性の半月板損傷があります。

これは若年者に多く、ジャンプやキック動作、急激な方向転換を求められるようなスポーツにおいて、より発症する傾向があります。

その際には、荷重位における膝の屈曲と回旋の動作が加わって生じると考えられています。

さらに、靭帯損傷のない単独損傷と、前十字靭帯損傷や内側側副靭帯損傷などを合併する複合損傷に分けられます。

靭帯損傷が先行した場合、膝の動揺・不安定性が増大した結果、半月板損傷を続発することもあります。

加齢変性によるもの

明らかな外傷が無かったとしても、加齢により変性した半月板は損傷しやすく、中高年ではしゃがみ込み動作や立ち上がり動作の繰り返しによって生じることがあります。

そのような際には、膝の変形などのアライメントの変化を伴っていることが多々あります。

変形した膝関節では関節裂隙の狭小化にともなって、半月板は圧縮される力や、せん断される力が加わりやすいのが特徴です。

円板状半月板によるもの

正常では、半月板は三日月状をしています。

しかし、中には生まれつき半月板が三日月状ではなく、円板状となっている方がいます。

そのような半月板を、円板状半月板(discoid meniscus)と呼びます。

欧米人に比べて、日本人などのアジア圏の方は円板状半月板である確率が高い傾向にあります。

この円板状半月板の発生率は3~7%程度と言われており、大半は外側半月板で見られます。

大腿骨顆部は球形に近い形をしていることから、円板状半月板では正常の半月板よりも圧縮応力が集中しやすいために損傷しやすく、その単独損傷は小児で多く見られます。

 損傷に関わる半月板の動態

回旋ストレス

正常では、半月板は膝関節の屈曲・伸展にともなってその形を変化させます。

半月板の構造と役割【膝屈曲・伸展で半月板はどう動くのか?】

しかし、大腿骨顆部の動きに対して半月板の動きが追い付かないようなときには、半月板に加わる負荷が増大し、損傷しやすくなります。

では、どのような時に半月板の動きが追い付かなくなるのでしょうか?

前述した通り、多くの半月板損傷は膝関節を屈曲した時に加わる大腿骨顆部の軸回旋と関係しています。膝関節は、完全伸展位では回旋できませんが、軽度屈曲位では回旋が可能です。

そのためにはまず、膝関節回旋に伴う半月板の動きを知る必要があります。

この動きを相対的に考えれば、脛骨の回旋とも言い換えることができます。

脛骨内旋時の半月板の動き

大腿骨に対して脛骨が内旋するときには、次のような動きが起きます。

  • 内側半月板は、脛骨上を前方に移動する
  • 外側半月板は、脛骨上を後方へ移動する

下の図の中で、水色は通常の位置にある半月板です。青色は移動した後の半月板です。

脛骨内旋とは大腿骨から見れば外旋の動きですので、上の図は大腿骨外旋時の半月板の動きとも言うことができます。

脛骨外旋時の半月板の動き

大腿骨に対して脛骨が外旋するときには、次のような動きが起きます。

  • 内側半月板は、脛骨上を後方へ移動する
  • 外側半月板は、脛骨上を前方へ移動する

脛骨外旋とは大腿骨から見れば内旋の動きですので、上の図は大腿骨内旋時の半月板の動きとも言うことができます。

半月板損傷のメカニズム

メカニズムといっても、半月板損傷の中には、明らかな受傷によるものではないものもあります。

そのような損傷は、先に述べた膝の変形や円板状半月板などの損傷しやすい環境を背景にした、日常生活動作の繰り返し刺激によるものと考えられます。

ここでは、受傷歴がはっきりしているものの中で、半月板を痛めやすい3つの様式についてご紹介します。

  1. 膝外反+外旋ストレスによるもの
  2. 前十字靭帯損傷に続発するもの
  3. 膝の急激な伸展動作によるもの

➀膝の外反+外旋ストレス

ジャンプ動作の直後や、急激な体重負荷を加えながら膝が外反、脛骨は外旋することで、半月板は損傷することがあります。

これは、いわゆるKnee-In(ニーイン)動作と呼ばれるものです。

このように膝関節を捻る時には、半月板には次のような2つの影響があります。

  • 外側半月板には大腿骨外側顆によって押しつぶされる力が加わる
  • 内側半月板には前方に引き出される力が加わる

この肢位から姿勢を立て直そうとする際には、引き出された内側半月板は後方へ引き戻されますが、そこで大腿骨内側顆と脛骨の間に挟まれます。

これによって、内側半月板は縦断裂などを起こします。

もしくは、内側半月板が挟まれた状態で関節が回旋することで、せん断力が加わり、水平断裂が起きることもあります。

内側半月板は後方部(後節)が分厚いため、どうしても後方部の動きが悪いので、外旋位から内旋位になるときに大腿骨内顆に挟まりやすい傾向があります。

このようなメカニズムで半月板損傷を引き起こす場合には、靭帯損傷(前十字靭帯・内側側副靭帯)も同時に起きることがあります。前十字靭帯・内側側副靭帯・内側半月板の同時損傷は【不幸の三徴候(unhappy triad)】とも呼ばれます。

➁前十字靭帯損傷に続発するもの

前十字靭帯(ACL)が損傷すると、脛骨は大腿骨に対して前方へ移動しやすくなります。

よって、前十字靭帯損傷が先行した場合には、脛骨の前方制動力が低下するために、半月板後方部は大腿骨顆部に押しつぶされやすくなります。

下の図の中で、色の濃い青色で示したものが、変位した半月板です。水色で示した通常の位置よりも後方に位置するために、関節内で挟まりやすくなってしまっています。

このような二次的な半月板の受傷パターンでは、その損傷のほとんどが内側半月板の後方部(後節)で生じます。多い断裂様式は、縦断裂水平断裂です。

これらのことは、前十字靭帯損傷の保存療法において、脛骨前方変位を予防するためのリハビリを行わなければいけない理由となります。

➂膝の急激な伸展動作によるもの

膝の急激な伸展動作で代表的なのは、サッカーのシュートするような動作です。

下の図をご覧ください。

膝の伸展動作に万が一半月板がついてこれない場合には、半月板前方が大腿骨顆部と脛骨に挟み込まれるように力が加わります。

このような場合には、横断裂や、半月板前角付近での断裂を生じることがあります。

特に外側半月板は、内側半月板よりも大きな動きを有するため、屈曲位から伸展動作にかけて損傷することが多い傾向にあります。

半月板と膝蓋骨には、両側に半月膝蓋靭帯が付着しており、大腿四頭筋の収縮に伴って膝蓋骨が引き上げられるとともに半月板も前方へ移動します。

よって、サッカーのシュートなどの急激に膝を伸展する動作においては、半月板を挟み込まないように、大腿四頭筋の収縮が非常に重要な役割を果たしていると考えられます。

まとめ

半月板は、膝関節の適合性を良くするために、屈曲・伸展・回旋に伴って移動します。

半月板損傷におけるキーワードは『捻り』『不意な外力』『屈曲位』などが挙げられます。メカニズムをしっかりと理解することで、受傷予防などにつなげていきたいものです。