【オフィスで実践】肩こりのストレッチとエクササイズ!

オフィスで働くデスクワーカーの方々にとって、肩こりは大敵です。肩こりは、ほうっておくと頭痛の原因となったり、疲労感からや重だるさから仕事の生産性が落ちてしまうなんてこともあります。

その対策の一つにストレッチがあります。しかし、それだけが全てではありません。

今回は、特にパソコン作業などを日々行うデスクワークの方を対象に、肩こり解消のメソッドをご紹介します。

そもそも肩こりとは?

まずは肩こりについて理解を深めていきましょう。

“こり”は英語で“muscle stiffness”に相当します。muscleは「筋肉」、stiffnessは「硬さ」と訳すことができます。

多くの肩こりでは、筋肉の過緊張が起きています。これは、筋攣縮(きんれんしゅく)と呼ばれる筋の局所的な痙攣のことです。このような状態になると筋内部からの圧力が上昇し、“硬く”感じられるのです。

肩こりは、次の2つに大別されます。

  1. 症候性肩こり:首の骨の変形や肩の炎症などの、何らかの原因疾患が背景に存在するもの
  2. 原発性肩こり:特定の原因疾患の存在せず、悪い姿勢や筋肉の使いすぎなどが原因で起こるもの

今回は、いわゆる『原発性肩こり』についての話となります。

肩こりのメカニズム

肩こりは、筋肉の使いすぎや悪い姿勢(不良姿勢)から始まります。

やや難しい話になりますが、肩こりが起きるメカニズムを見てみましょう。

  1. 筋肉の使いすぎや、無理な姿勢による物理的な刺激は、脊髄(せきずい)を介した反射により筋肉の緊張を高め、先ほど述べた筋肉の過緊張を引き起こします。
  2. そうなると血流が低下し、虚血状態となった細胞組織は損傷を受けることになり、その過程で痛みを引き起こす発痛物質という痛みの元が産生されます。
  3. さらに、血流が悪くなっているために、筋肉の内部に発痛物質が停滞することになります。
  4. そして、発痛物質の停滞により新たな筋肉の過緊張が起きるという痛みのスパイラルが引き起こされるのです。

厄介なことに、一旦このスパイラルに陥ると、最初の痛みの原因であった不良姿勢を正したりすることで刺激を減らしたとしても、それだけでは痛みのサイクルから抜け出すことができなくなることがあります。

デスクワークで起きる肩こり

人間の頭は意外に重く、体重の10分の1ほどあります。これは、ボーリングに使うボールくらいの重さです。それを頭の位置に乗せていると想像していただくと、どれだけの負担が首にかかっているのかお分かりいただけるかと思います。

デスクワークにおいて、パソコンのモニターを覗き込むような姿勢は、『頭部前方位(とうぶぜんぽうい)姿勢』と呼ばれます。

知らず知らずにやってしまっているこの姿勢は、重い頭部を支えるための首の後ろに存在する筋肉への負担を増加させ、最初の痛みの引き金となります。また、この姿勢は猫背のように背中が丸まることにもつながります。

肩こりの原因となる筋肉

肩こりの原因となる筋肉はいくつかあります。ここではデスクワークにおける肩こりの原因となりやすい、次の5つの筋肉にフォーカスしたいと思います。これらの筋肉は、頭部前方位姿勢と深い関係があります。

  • 菱形筋
  • 小胸筋
  • 大胸筋
  • 肩甲挙筋
  • 僧帽筋

肩こり改善のコンセプト

肩こりの改善を目指す際には、まず姿勢を正し、頭部前方位姿勢を改善することが先決です。予防に敵うものはありません。

しかし、それでも肩こりが起きてしまった場合には、痛みのスパイラルから抜け出るための手段をとらなければいけません。その際には、先ほどの肩こりのメカニズムの中で、どの部分をターゲットにするかが重要です。

ストレッチの実際

まずは、肩こりに対するストレッチについて見ていきましょう。ストレッチは、筋肉の緊張を緩めることで、痛みのスパライルから抜け出る効果があります。また、姿勢の改善することで、再発予防のためにも役に立ちます。

菱形筋のストレッチ

菱形筋は、猫背になると“こり”が起きやすい筋肉です。特に、背中が痛くなるのが特徴です。菱形筋のストレッチでは、背もたれのあるオフィスチェアなどに座って行うのがベストです。

①まず、椅子に深く座って両手を真っすぐ前に伸ばします。その際に、背中が背もたれに当たるようにして下さい。

②背中が背もたれから離れないように注意しながら、両手をできるだけ前に伸ばそうとしてください。しっかりストレッチできていれば、背中が突っ張る感じがするかと思います。

ストレッチのポイント

菱形筋のストレッチのポイントは、肩甲骨の位置です。

手を前に伸ばそうとしていない時には、肩甲骨同士は近づいた位置にありますが、手を前に伸ばそうとすると、肩甲骨は離れようとします。その際に、菱形筋はストレッチされることになります。都合の良いことに、この運動は菱形筋と反対に作用する筋肉を働かせます。すると、神経と筋肉の関係上、菱形筋は緩むことになるのです。

手を前方へ伸ばし、10秒程度キープしましょう。もし可能であれば、30秒キープしていただけると、より効果があります。

小胸筋のストレッチ

猫背のまま時間が経過すると、胸の前にある小胸筋が縮こまります。そうすると、胸の痛みや悪化すれば腕や手のしびれなどが起きることもあります。

①まず、胸を手の平で押さえます。押さえる場所は、鎖骨の真ん中から握りこぶし一個分下の位置です。そこを、上の写真のように斜め下方向へ押さえます。

②手をそのまま斜め下方へ押しつけた状態で、胸をしっかり張ります。これでも小胸筋はストレッチされますが、さらに効果的に伸ばすために息を大きく最後まで吐きます。

小胸筋は肋骨に付着しています。息を吐くことで、肋骨全体が下がろうとするので、それと一緒に小胸筋が伸びていくのです。

ストレッチのポイント

息は7~8秒ほどかけてゆっくりと吐きます。回数としては、息を吐き切るまでを1回とカウントし、5回は行いましょう。

小胸筋の表層には、さらに大きい大胸筋という筋肉があります。ストレッチする側の手のひらが外を向いていると大胸筋の突っ張りが邪魔になるので、手の平は内側に向けて下さい。“きをつけ”の姿勢です。

大胸筋のストレッチ

小胸筋の表層には大胸筋が存在しますので、一緒に伸ばしていきしょう。大胸筋は筋肉が上下に幅が広いので、2種類の方法でストレッチします。

まずは、大胸筋の上の方を伸ばす方法です。

①まず、上の画像のように、親指を後ろに向けるように肘を曲げます。その際には、肩は上げないようにしましょう。

②次に、親指が後ろを向いたまま、胸を張ります。後ろから見ると、肩甲骨がお互いに寄ってくるような形になります。これで、大胸筋の上の部分がストレッチされます。

次に、大胸筋のもう少し下の部分をストレッチしましょう。

①まず、親指はやはり後ろを向けた状態で、先ほどよりも腕を前に上げます。90°くらいは上げるのが理想ですが、肩の痛みがあれば、そこまで上げなくても結構です。

②ここでも、親指が後ろを向いている状態を維持したまま、胸を張っていきます。肩を上げれば上げるほど、大胸筋の下の方がストレッチされていくので、無理のない範囲で行ってみてください。

ストレッチのポイント

大胸筋のストレッチでは、胸を張った状態で10秒程度キープするようにしましょう。これも可能であれば、30秒ほどキープしていただいた方が効果があります。

肩こり改善にはストレッチだけじゃない!

肩こり解消の武器はストレッチだけではありません。筋肉は、それ自体が伸び縮みする組織であるがゆえに、ポンプのような作用もあります。

力を入れたり抜いたりする動作を反復して繰り返すと、ポンプのように筋肉内の血液循環を促通します。これは、肩こりによる痛みのスパイラルを脱出するもう一つの手段となります。

肩甲挙筋のポンプエクササイズ

肩甲挙筋は、その名の通り肩甲骨を持ち上げる作用があります。頭部前方位姿勢においては、特に負担が加わりやすいと言われていますので、肩こりでは無視できない筋肉です。しかし、その反面ストレッチしにくい筋肉ですので、前述したポンプ作用を利用したエクササイズを行います。

①両手を背中で組んだ姿勢から始めます。この姿勢は、肩甲挙筋と一緒に働きやすい僧帽筋を働きにくくするので、肩甲挙筋の収縮を促しやすいメリットがあります。肘はできるだけ伸ばした方が良いですが、肩が痛くなるようなら多少曲げても結構です。

②両手を組んだまま、肩をすくめていきます。その際には、肘がスタートの位置から曲がってこないように注意して下さい。あくまでも、肩甲骨が持ち上がってこなければ肩甲挙筋は働いてきません。

運動のポイント

この運動では、ゆっくりと5秒ほどかけて肩をすくめます。そのまま5秒ほど静止させ、ゆっくりと元に戻します。それを10回ほど行いましょう。肩甲挙筋はインナーマッスルであるがゆえに、それほど強い筋肉ではないので、軽めの力で動かすようにして下さい。

僧帽筋のポンプエクササイズ

僧帽筋は、肩甲挙筋よりも表層にある筋肉です。肩甲挙筋とよく似た作用がありますが、違いとしては、後頭部の骨にも付着していることです。よって、下を向くような動作でより一層“こり”が起きやすい筋肉と言えます。

①まず、手を頭の上に置きます。あまり頭を上から押さえつけないように注意してください。後ろから見ると、肩甲骨は肩甲挙筋のストレッチの時とは違った向きに位置するはずですので、それがポイントです。

②ここから、肩をすくめていきます。手は頭にそっと乗せておくだけにしてください。

運動のポイント

肩をすくめた位置で5秒ほど静止して、ゆっくりと戻すことを10回繰り返します。僧帽筋は比較的大きな強い筋肉ではあるのですが、力いっぱい動かさなくても十分効果はあります。

まとめ

肩こりは、そのメカニズムを理解した上で、何のためにストレッチやエクササイズを行うのかという意識を持つことが重要です。

それが、肩こりから身を守る一番の方法だと思いますので、ぜひ参考にしてください。