理学療法士の学生が、実習前に準備・理解しておくべきこと。何を勉強しておけば良いのか?

理学療法士になるためのハードルは大きく分けて、【臨床実習】と【国家試験】でしょう。

その中でも、【臨床実習】を乗り越えるためには、色々なハードルを乗り越える必要があり、しかも実習先の良し悪しにも左右されるため、不安に感じない学生さんはいません。

ここでは、実習地側の立場から、実習に臨む学生さんの不安を少しでも払拭できるように、事前に準備すべきことをご紹介します。

実習前に、まず知って頂きたいこと

現在の理学療法士の実習システムは完璧ではありません。そのカリキュラムの改善のために、国も理学療法士協会も動き出していますが、未だに問題があります。

それは、実習地ごとに教育の差があることです。

そのシステム上の問題を、学生さんが自分自身の問題として捉えてしまうと、非常に辛い思いをすることになります。

よって、まずはそのことを理解していただくことが必要です。

合格レベルのバラツキ

実習地によって、学生に求められるレベルが異なります。

それもそのはず、スーパーバイザーの主観的な判断で、実習地では評価が決まるからです。要するに、同じ学生がA病院では合格を受けたとしても、B病院では不合格になることがあるわけです。

これにより、学生の間では「あそこは当たりだ」「ハズレだ」といった噂が広まってしまうわけです。

養成校によっては、それを把握した上で、厳しすぎる実習地で不合格となった学生への配慮もあるようです。

治療方針の違い

理学療法には一応ガイドラインというものもありますが、ほとんどは個々の理学療法士が、自由な発想でリハビリ業務に取り組んでいます。

認知運動療法やPNF、AKAなどのファシリテーションテクニックを最重視している場所もあります。

このことは、臨床に携わる理学療法士にとっては魅力的なことである反面、学生はそれに影響され、振り回される傾向にあります。

ある意味ではそれも勉強なのでしょうが、それに順応できなかったからといって、実習の評価には影響されるべきではありません。

バイザーの指導方針の違い

各バイザーによって指導方針が違うことに戸惑う学生さんは少なくないでしょう。

よくあるパターンは、次の2つの両極端な指導方針です。

  • 1から10まで教えようとするパターン
  • 自分で全部考えさせようとするパターン

前回の実習が前者で、次の実習が後者であった場合、消極的と取られてしまう可能性が大です。学生としては悪気が無くても、方針の違いの差によって評価が下がることすらあることを念頭に置いて下さい。

そのためには、バイザーがどのような指導方針を持っているのかを早期に理解する必要があります。

悩む前に相談を

これらのことは、学生に非が無くても日常的に起きる問題です。

よって、実習で行き詰まった際には、一人で悩まずに、学校の実習担当教員に早急に相談して下さい。中立な立場から、問題点が学生にあるのか、実習先にあるのかを判断してもらえるでしょう。

特に注意していただきたいのが、パワハラの問題です。

パワハラが起きやすい理学療法士の実習体制を改善するために必要なこと

実習に必要なスキル

前置きが長くなってしまいましたが、ここから実習先で求められることについて触れていきたいと思います。

実習で学生に求められる能力は大きく分けて、次の二つです。

  1. 対人能力
  2. 理学療法を遂行する能力

どちらが欠けていても、実習合格に至らない可能性があります。

1.対人能力

対人能力には、次の2つが求められます。

  • バイザーとの関係
  • 患者さんとの関係

バイザーとの関係

実際に実習が不合格になったり、不本意ながら途中で中断してしまった方に話を聞くと、最も多いのが『バイザーとの意思疎通の問題』です。バイザーも人間ですから、学生との間には人間関係の構築が必要です。

そのためには、報告・連絡・相談を行うというのが基本原則です。

この3つの原則をしっかりと守ることで、大きな問題は避けらます。社会人としての常識的な態度を重要視するバイザーは多いです。

報告・連絡・相談について詳しく知りたい方は、こちらが勉強になります。

患者さんとの関係

患者さんとの関係については、医療者としての姿勢が問われます。

具体的には以下のようなことです。

  • 個人情報の取り扱いに注意する。
  • 目線の高さを合わせる。
  • 敬語を使う。
  • 相手の心情を理解するように努める。

実習地側からすれば、大事な患者さんを学生に任せるのは大変心配なものです。よって、学生がどのように患者さんと接しているかに注目しています。

重要なのは、患者さんに誠意を示すということです。

誰から見ても誠意をもって対応していると分かれば、多少敬語がおかしくなったりしたとしても、誰も責めることはないでしょう。

2.理学療法を遂行する能力

ケーススタディから学ぶ

実習のための訓練としては、ケーススタディを利用することが効果的です。ケーススタディとは、いわゆる症例検討・症例報告のことですね。

学校によっては授業でロールプレイングとして、やることもあるかと思います。

実際の症例の情報があるのがベストなのですが、最近は個人情報の管理が厳しくなってきたので、先輩のレポートやレジュメを見る機会も無くなってきていることでしょう。

そのため、おすすめは文献から学ぶことです。

文献の中でも、シングルケーススタディといって、1名の症例の評価・治療や経過を追っていくものが勉強になります。

書籍でも同じく勉強になるものがあります。整形外科分野しか分からないので申し訳ないのですが、こちらは症例ごとのケーススタディの勉強に適しています。

文献や書籍からケーススタディを学ぶときには、書いてあることを鵜呑みにするのではなく、『自分だったらどう考えるか?』ということが重要です。

そのイメージトレーニングが実習で活きていきます。

必要な情報をすぐ出せるように準備する

理学療法を遂行する能力とは、学校で学んだ基礎学問を使って、患者さんにそれを応用するということです。

基礎学問とは、主に生理学・解剖学・運動学のことです。

特に、運動学は良い参考書を持っておくことが重要だと考えています。なぜなら、実習で必須となる動作分析を行うためには、運動学が必要となるからです。

僕のおすすめ書籍はこちらです。

また、担当症例の疾患の特徴を理解することも必要です。最近実習生が持っていた本の中で、これは使えると感じたものがありましたので、ご紹介します。

全てを完璧に覚えることは無理でしょうが、どこに何が書いてあるのかくらいは覚えておきましょう。

なぜなら、実習中は時間がありません。一から調べていては、睡眠時間まで削られていきます。効率的に知りたいことが分かるように、整理しておくことが必要です。

分からないことは実行しない

実習中に不合格になる可能性のあることの一つとして、リスク管理を怠るということがあります。

禁忌事項を行ってしまったりすることは、絶対に避けるべきことです。

迷ったら実行しない。調べて、必要に応じてバイザーに確認するということを肝に銘じておく必要があります。

これは致命的な問題になりかねません。

難関なのは、【問診】と【統合と解釈】

理学療法の流れで最も難しいのはこの2つです。

ROMやMMTなどの検査方法などは決まったものがありますし、その選択もそれほど難しいものではありません。

しかし、問診や統合と解釈は、その患者さんに合わせていく必要があるために難しいのです。以下にその方法をまとめてありますので、必要に応じてご覧下さい。

実習でも使える理学療法士による3つの問診テクニック

理学療法士の実習生が悩む【統合と解釈】を超分かりやすく解説する

まとめ

これから実習へ行く学生さんのために、今回色々と考えてみました。実習の難しさは、その実習のあり方自体にもあるために、学生サイドとしては、つかみどころのない不安がついて回ります。

最低限の理学療法を遂行する力さえあれば、後は人間関係次第です。

バイザーとの意思疎通をしっかり行うために、コミュニケーションを自分から積極的に取りにいって下さい。