理学療法士協会の『新生涯学習システム』について。新しい認定理学療法士プログラムに変わるメリットとは?

平成33年(2021年)4月から、理学療法士協会による『新生涯学習システム』が運用開始される予定のようです。

『新生涯学習システム』とは何なのか?

今までと、どのように違うのか?

それらをご紹介します。

認定理学療法士プログラムの研修時間

認定理学療法士を取るために必要な研修時間は、現行の37時間から675時間に拡大されるようです。

およそ18倍!

凄まじい変化ですね。

登録理学療法士制度

今までは、新人教育プログラム⇒認定理学療法士プログラムという流れでしたが、その間に“登録理学療法士制度”というものが新設される予定のようです。

この表を見てピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、この名称は医師・歯科医師の学会専門認定医のシステムと似ています。

学会認定専門医とは、各医歯学系学会が認定しているもので、登録医・認定医・専門医・指導医などに分けられます。

これに対応するかのように、『登録理学療法士』、『認定理学療法士』、『専門理学療法士』、『指導理学療法士』が設定されているのではないかと推測できます。

外部評価機構

上記の医師における専門医制度は、これまで各学会が独自認定していましたが、2017年4月から新制度となり、第三者機関である「日本専門医機構」による認定へ変化してきています。2020年度には、この新制度による専門医が誕生することになるようです。

これと同じように、理学療法士の認定理学療法士プログラムにおいても、外部評価機構による認定登録制を目指しているようです。

登録更新制の導入

認定理学療法士などには登録の更新が必要になるようです。

資格のクオリティを保つためには、資格の更新というのは一般的にもメジャーな方法です。

例えば、“専門医”にも登録の更新はあるようですし、ケアマネジャーにも更新があります。

登録更新のもう一つの利点は、後述する医療広告に関する基準に、それが含まれているということも挙げられます。

問題は、更新にどのくらいの時間が必要になるかというところが気になる点です。

『新生涯学習システム』によるメリット

新生涯学習システムにより理学療法士が恩恵を受けることとしては、以下の2つが挙げられます。

  1. 将来的に報酬加算が得られるかもしれない。
  2. 医療広告が可能になるかもしれない。

1.将来的に報酬加算が得られるかもしれない

理学療法士の新生涯学習システムは、ここまで見てきたように、医師の生涯学習システムに準ずる形となっているように感じられます。

医師に準じた形を取ることで、まずは国の評価を高める狙いがあるのでしょう。

国の評価が上がれば、理学療法士による報酬加算が得られる可能性があります。

実際に、看護師の世界においては、専門・認定看護師が配置されていることで算定できる管理料、指導料があります。

例えば、『がん患者指導管理料』や『呼吸ケアチーム加算』、『緩和ケア診療加算』などがあります。また、2016年度の診療報酬改定においても、認知症ケア加算1、排尿自立指導料などが新設されるなど、その流れは広がりを見せています。

2.医療広告が可能になるかもしれない

病院などでの広告については、患者さんの利用者保護の観点から医療法その他の規定により、これまで制限されてきました。

これは、厚生労働省から発表された「医療広告ガイドライン」によって決められております。

例えば、“当院では、県内1の腕を持つ理学療法士が在籍しています!”とホームページで広告するのはアウトなわけです。

しかし、平成14年における医療機関の広告規制の緩和により、告示で定める基準を満たすものとして厚生労働大臣に届出がなされた団体の認定するものであれば、『専門医』や『専門看護師』などの資格名が広告可能となりました。

その基準というのがこちらです。

○医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項(平成十九年厚生労働省告示第百八号)
第一条 医療法(昭和二十三年法律第二百五号。以下「法」という。)第六条の五第一項第七号に規定する厚生労働大臣の定める事項は、次のとおりとする。
一 (略)
二 次に掲げる研修体制、試験制度その他の事項に関する基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た団体が行う医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨
イ 学術団体として法人格を有していること。
ロ 会員数が千人以上であり、かつ、その八割以上が当該認定に係る医療従事者であること。
ハ 一定の活動実績を有し、かつ、その内容を公表していること。
ニ 外部からの問い合わせに対応できる体制が整備されていること。
ホ 当該認定に係る医療従事者の専門性に関する資格(以下「資格」という。)の取得条件を公表していること。
ヘ 資格の認定に際して、医師、歯科医師、薬剤師においては五年以上、看護師その他の医療従事者においては三年以上の研修の受講を条件としていること。
ト 資格の認定に際して適正な試験を実施していること。
チ 資格を定期的に更新する制度を設けていること。
リ 会員及び資格を認定した医療従事者の名簿が公表されていること。
引用:厚生労働省 医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について

これを見る限り、今回の『新生涯学習システム』で追加された部分と共通するものが多くあります。

これを踏まえると、将来的に理学療法士も、病院において『認定理学療法士』として広告することができるようになる可能性が十分あります。

使い方にもよりますが、これをうまく利用することで、病院のイメージアップや患者さんへのアピールになるかもしれません。

理学療法士の今後の行動

駆け込み需要が増加する

この知らせを受けて、理学療法士の中には、急いで認定理学療法士を取得する方が急増することが予想できます。

今までは、認定理学療法士を取るメリットがあまり感じられない部分が多々ありましたが、これで報酬加算が得られる可能性といいますか、希望が湧いてきました。

加算のとれる専門・認定看護師は、今や引っ張りだこの病院もあると聞きます。

もし認定理学療法士が報酬加算を得ることが可能になれば、これは革命的なことです。飽和が進む理学療法士業界において、給料のアップや転職での有利性を考えると、取得はマストなものになるでしょう。

挫折する人間も増える

システムをざっと見た印象ですと、運用後において、認定資格取得にはかなり条件が厳しく設定されています。

特に時間的余裕が必要です。

新制度の運用開始後に認定理学療法士資格を取得しようとするときに、家庭や小さな子どもを持つ方などは、相当に厳しくなるのではないかと思われます。なぜなら、理学療法士の世帯では、給与水準などの影響から共働きの方も多くいらっしゃると思われるからです。

時間をかければ何とかなりますが、時間がかかればかかるほど人間というのはモチベーションが低下していきます。

そのような境地に陥った際に、挫折してしまう方が増えるのではないかという懸念があります。

まとめ

まだ情報が少ないために、この記事には推測もいささか含まれておりますことをご了承下さい。

随時追記していきたいと考えています。

内容に関しては、可能な限り吟味して記載しておりますが、万一おかしな部分があればお手数ですが【お問い合わせ】よりご指摘いただければ幸いです。