やる気のない患者さんをリハビリに奮い立たせる4つのテクニック

理学療法士として沢山の患者さんと接していると、中にはリハビリ意欲のない患者さんも少なからずいらっしゃいます。

嫌々リハビリを受けていたり、拒否したりとリハビリ職者にとっては悩みの種になることもあります。

ここでは、そのような方々に対して僕自身が実践している方法をご紹介します。それは、世の中のビジネスマンに広く周知されているデールカーネギー著書『人を動かす』の応用方法です。

リハビリ職者ほど読んで欲しい一冊

デールカーネギーの著書は、あまりにも有名ではありますが、「堅苦しい」「難しそう」との印象が強い傾向があります。

ここでは、カーネギー著書の要点をコンパクトにまとめた一冊である、下の書籍を軸に進めていきます。

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この本には、患者さんのリハビリ意欲を引き出すためのエッセンスが詰まっています。それぞれにテクニックはありますが、その根本は『いかに相手の身になって行動できるか』ということに集約できます。

テクニック➀:相手に合わせる

「魚釣りのセオリー」というものがあります。

僕も魚釣りは大好きなのですが、釣りのエサというものは、自分自身が食べたいと思うものは基本的にありません。魚のエサの多くは、ミミズ・ゴカイ・虫などですから。

もし、自分の好きな食べ物をエサにしてみたらどうなるでしょうか。自分が好きだからという理由でステーキやケーキなどをエサにしても、おそらく魚は釣れません。あくまでも、魚の立場になったら何が良いかを考えなければいけません。

この比喩と同じように、リハビリにおいても、相手が望むことや好きなこと、価値観を重要視して進める必要があります。リハビリ職者は「担当なのだから何とかリハビリやらなければ」「単位を取るために患者さんにも協力してもらわなければ」と考えがちです。それらは自分自身の都合に過ぎません。

相手の立場に立つには、とにかく相手のことを知る必要があります。とにかく相手に興味を持って、いろいろなことを聞き出してみて下さい。

  • 幼少期に好きだったこと。
  • 人生で達成したこと。
  • 悔しかったこと。
  • 今までで一番の良い思い出。
  • 子供や孫のこと。
  • どんな生活を送ってきたか。
  • 10年前に思い描いていた将来像。

一見リハビリに関係なさそうに思えますが、相手がどのようなことに関心を持っていて、どんな人生観を持っているかを知ると、ゴール設定をしやすくなります。

ゴール設定が単なる『大腿四頭筋筋力強化。歩行距離を伸ばす。』というものだったのが、『昔旅行で感動した北アルプスをもう一度登る』というものになるかもしれません。実際には困難かもしれませんが、居室に北アルプスの山々のポスターを貼ってもらってリハビリに誘えば、モチベーションは上がるかもしれません。

テクニック➁:相手のいいところを見つけ、認める

臨床の現場においては、理論的にリハビリの必要性をいくら説明しても、全く効果がないことが多々あります。カーネギーは、「千の理性的な理論」よりも「親しみあるれる態度と、甘くやさしい言葉」が重要であると説いています。そしてこれを、a drop of honey(蜜の一滴)と表現しています。

リハビリを必要とする患者さんは、自分自身の身体機能やとりまく環境について悲観的になっている場合が多いです。そのような背景があり、自暴自棄になったり意欲を失ったりしてしまうわけです。

そんな時に、ぜひ患者さんの良いところを探し出して褒めてみて下さい。リハビリに全く関係ないことで結構です。

  • 「○○さんの声は聞き取りやすいですね」
  • 「実際の年齢よりも随分若く見えますね」
  • 「腕の筋肉がしっかりしてますが、何か昔やってましたか?」
  • 「○○さんの話は人生勉強になります」
  • 「面会に来る息子さんは背が高くて立派ですね」

こうすることで、患者さんは自己肯定感を取り戻していくことがあります。『自分は重要な人間だ』という感覚は、リハビリ意欲を高めるのに非常に効果的です。褒めて褒めて褒めちぎるのが良いタイプと、普段は厳しくしてたまに褒めるのが良いタイプといらっしゃるかもしれませんので、そこは見極めが必要かもしれません。

ともかく、リハビリ現場においてもa drop of honeyを使う価値は十分にあります。

テクニック➂:会話のコツ

理学療法士と患者さんの関係は、難しい部分があります。よく知りもしない相手に自分の体を触られるということは、抵抗が全くないはずがありません。

そのような中において、『理学療法士の雑談力』が意外に重要になります。雑談といっても、無駄話という意味ではありません。相手との関係の緊張緩和のためのテクニックとして考えて下さい。

僕も、患者さんのリハビリへ入る時には必ず一言関係ない話をさらっとします。

  • 「昨日はよく眠れましたか?」
  • 「ちょっと顔色が良さそうですね」
  • 「今日の昼食はどうでしたか?」
  • 「最近その〇〇(小物など)をよくお持ちですね」

できるだけ相手に関心があることを知ってもらうために、患者さんのことに絡めたことが良いかと思います。自分の緊張は相手にも伝わりますので、自分自身がリラックスすることも大事です。

また、その後の会話では、できるだけ相手に話させるような工夫が重要であるとカーネギーは言っています。自分だけがペラペラと話しをしたり、リハビリの内容を一方的に説明するのは良くありません。9割相手が話しをしている状況で、自分は相づちを打つ程度がベストです。

患者さんから話をどんどんしてもらえる状況で、リハビリを拒否されることはまずありません。主体的に自分から話をするということは、主体的に自分から体を動かすきっかけになります。

テクニック➃:批判を受け入れる

僕が好きなカーネギーの言葉の一つに、次のようなものがあります。

「本当に論理的な人はほとんどいない。私たちの大部分は先入見や偏見に満ちているのだ」

患者さんがリハビリに消極的であったり、拒否的であったりする場合にも、それ相応の理由があるわけです。リハビリをやるべき理由よりも、もしかすると、やりたくない理由の方が理論的である場合すらあると思います。

それを理学療法士も受け入れることが重要です。

  • なぜリハビリをやる気が起きないのか
  • なぜリハビリを拒否をするのか

その理由を話してくれる場合は、この上なく有難いことです。人は誰しも自己中心的であり、自分の意見が絶対正しいと思っている傾向があります。それには、その人なりの理論があるわけです。

患者さんがリハビリを批判した場合には、反論するよりも受け入れる姿勢を示した方が、はるかにその後のモチベーションアップが容易です。むしろ最悪なのは、心を閉ざしてしまうことなので、批判された場合には喜んで受け入れましょう。

まとめ

人のモチベーションに影響を与えるような言動は、とても難しく技術が必要です。

ビジネス書などにもヒントが多くあるような気がしますので、興味のある方はどんどん探してみると良いかと思います。

デールカーネギーに関するおすすめ書籍はこちら

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