理学療法士の実習生が悩む【統合と解釈】と【考察】の違いについて

今年もスーパーバイザーとして何名かの実習生を担当させていただいております。

先日、ある学生さんからこんな質問をいただきました。

「統合と解釈と考察の違いが分からないのですが・・・。」

同じような疑問を持っている方が多いかもしれませんので、ここではその2つの違いについて書いていこうと思います。

【統合と解釈】とは?

【統合と解釈】については、以前に書いたことがあるので、こちらをご参照下さい。反響をいただいた記事です。

理学療法士の実習生が悩む【統合と解釈】を超分かりやすく解説する

【統合と解釈】によって、介入対象が定まるので治療を行うわけですが、その後に行うべき大事なことがあります。

それは、【効果判定】です。

【効果判定】の重要性

【効果判定】とは、自分の行った治療に効果があったのかどうかということを客観的に判断することです。判断基準はいろいろありますが、重要なのは主訴が解決されたかどうかということになります。【統合と解釈】と【考察】の違いが分からない学生さんの多くは、この効果判定がうまく行えていない傾向があります。自分の行ったリハビリの結果が客観的に示せなければ、考察のしようがありません。

具体的には、次のようなことを見ていきます。

  • 各検査結果はどのように変化したのか?
  • 動作はどのように変化したのか?
  • 生活にどのような変化があったのか?

【効果判定】では、このようなことを時系列を追って、一つずつ治療と評価を行っていきます。ここをしっかりと明確化できるかどうかが重要です。

よくある間違ったケースでは、治療プログラムを一気に全て実施して、まとめて効果判定を行ってしまうことです。これでは患者さんに良い変化があったとしても、どの治療プログラムが効果があったか分かりにくくなってしまいます。

【考察】とは?

一般的に【考察】とは、結果から何が分かったかということについて考えることです。

【統合と解釈】では、検査・評価を組み合わせて主訴の原因となる問題を明らかにしました。そして、その後に治療プログラムを立てて実際に治療を行います。その後に【効果判定】を行い、結果を明らかにします。

その結果について、【考察】では・・・

  1. 治療効果の分析。
  2. 手段が適正であったか。

大きく分けて、この2つを考えていきます。1つずつ見ていきましょう。

1:治療効果について言えることを分析する

リハビリ治療を行うことで、結果が得られます。その場合、何がどのように結果に影響したのかを考える必要があります。

例えば、治療においてA・B・Cの3つのプログラムを立ててリハビリを行ったとしましょう。

問題は、どのプログラムが、どのように効果があったかを理解しなければいけないことです。そこで、先ほど述べたような、【効果判定】がしっかりと実施できているかどうかが必要になってきます。

時系列を追って治療プログラムを立て、一つずつ治療を行って評価を行うことで、個々の治療プログラムに応じた【考察】ができます。また、それそれの結果を対比させて、新たな見解を得ることもできます。

例を挙げてみましょう。

考察の例➀治療プログラムAでは改善が見られ、プログラムBでは改善が見られなかった。しかし、プログラムCではプログラムAほどの改善は見られなかったがプログラムBよりは改善が見られた。
これらのことから、本症例は〇〇といった問題があったと考えられるが、〇〇といった問題は無かったと推測できる。文献によると・・・・。

こういった文章が考察に出てくるとOKでしょう。

ポイントは、以下の通りです。

  1. 効果判定で得られた個々の結果を分析していること。
  2. それぞれの治療プログラムの結果を対比させていること。
  3. 文献による裏付けを得ていること。

2:評価・治療手段が適正であったかを分析する

自分が行った一連の評価から、治療までのリハビリ過程を客観的に振り返ります。

具体的には、次のことを振り返ります。

  • 情報収集(問診・他部門情報)は適切に集めたか。
  • 検査項目に足りないものはなかったか。
  • 検査の精度はどうだったか。
  • 問題点の抽出は適切に行っていたか。
  • ゴール設定に問題はなかったか。
  • 治療プログラムの手段・頻度・負荷量などに問題はなかったか。

このようなことについて【考察】を進めます。例を挙げましょう。

考察の例➁治療を行ったが、良い結果は得られなかった。その理由として、治療プログラムAの負荷が十分でなかったことが考えられる。文献によると・・・。

ポイントは、以下の通りです。

  1. 効果判定で得られた結果を元に考えていること。
  2. 自分自身が行った一連の流れの問題点を考えていること。
  3. どうするべきだったかを考えていること。
  4. 文献の裏付けを得ていること。

【統合と解釈】と【考察】の違い

ここまで見てきた通り、この両者は全くの別物であることがわかります。学生さんのレポートを見てみると、ごっちゃになっていることがあるので注意が必要です。
本当に簡単に言ってしまえば、違いは次のようになります。

統合と解釈『評価を元にした分析』
考察『治療結果を元にした分析』

評価実習ではどうするの?

これもよくある質問です。

「評価実習では治療まで行わないので、【考察】は行わなくても良いのか?」ということです。

確かに、治療結果から分析するという【考察】はできないので、実習地や養成校によっては、評価実習において【考察】は必要ないとの認識を持っている場所が多いようです。

僕自身も、評価実習に関しては【統合と解釈】だけでOKとしていますが、各バイザーによって考えがあるかもしれないので、評価実習の際には、【考察】を書くべきなのかを個別に聞くことをお勧めします。

なぜなら、評価実習において【考察】を書くとすれば、どのような内容を書くべきなのか普通は迷って当然だからです。そこで、妥当な意見をバイザーからもらえれば、そのように従ってください。

しかし、稀にバイザー自身が【考察】の意味を分かっていないケースがあります。そのような時には、理不尽な内容を指導されるかもしれません。そのような時には、学校の担当教員へ早々に相談すべきだと思います。

理不尽なバイザーに苦しめられることがないように注意してください。

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まとめ

理学療法士になるための実習において、ケーススタディをしていくことは必須要件です。その中において、【統合と解釈】と【考察】についての違いを理解することは避けては通れない部分ですので、今回の記事をぜひ参考にして下さい。