後頭下筋群の起始停止・機能・ストレッチ方法について。後頭骨や上位頸椎の触診方法を含めてご紹介します。

人間の頭部は体重の1/10の重さがあると言われています。

その頭部を脊柱に固定する役割の一端を担っているのが、後頭下筋群です。

長時間デスクワークをしている方や、下を向いてスマホでゲームをしている方など、頭部-頸部が不良姿勢になっている場合には、後頭下筋群を起因とする痛みや症状が出ることがあります。

ここでは、後頭下筋群の解剖学的特徴などを中心にご紹介します。

後頭骨・上位頸椎について

後頭下筋群についてご紹介する前に、それらの筋肉が付着する骨や関節の構造を見ていきましょう。

外後頭隆起・上項線・下項線・乳様突起

触診のポイント

・外後頭隆起は、頭部後方にある最も大きな骨隆起です。外後頭隆起は触りやすく、ランドマークとして適しています。
・そこから横に指を移動させると上項線が左右に存在します。
・上項線から下方へ降りたところに、下項線があります。
・下項線の延長線上には、乳様突起が存在しています。

環椎・軸椎

触診のポイント

・下項線の中央から下方へ指を移動させると、最初にぶつかるのが軸椎(第2頸椎)棘突起です。軸椎棘突起は比較的大きいので分かりやすいです。
・環椎(第1頸椎)は、棘突起ではなく、後結節として存在しているため触りにくいです。触るとすれば、軸椎棘突起から近位に戻り、頸部を屈曲させることで、項靭帯の緊張とともに盛り上がってくる様子を確認することができます。
・環椎横突起は、乳様突起の前下方に位置しています。

まずは、これら骨・関節を立体的に理解しておくことが重要です

後頭下筋群とは?

後頭下筋群の機能

後頭下筋群は、頸部におけるインナーマッスルとでもいうべき存在です。上位頸椎と後頭骨の頭蓋底に付着する小さな深部筋であるこれらは、環椎と軸椎から起こり、頭蓋底に停止します。

頸椎の大きな動きに作用するというよりは、重い頭部と頸椎を連結し、動作の微調整をするという重要な機能を有しています。

頭部前方位や頭部屈曲位(chin down)などの不良姿勢は、後頭下筋群への過負荷につながり、筋スパズムを引き起こすきっかけになります。

後頭下筋群は、以下の4つの筋肉の総称です。

  1. 大後頭直筋
  2. 小後頭直筋
  3. 上頭斜筋
  4. 下頭斜筋

それぞれの筋の起始・停止・作用・神経支配を見ていきましょう。

大後頭直筋

起始:軸椎棘突起

停止:下項線の中間1/3

作用:

  1. 両側の収縮で頭部後屈。
  2. 片側の収縮で頭部を同側回旋。

神経支配:後頭下神経(第1頸神経後枝)

小後頭直筋

起始:環椎後結節

停止:下項線内側1/3

作用:

  1. 両側の収縮で頭部後屈。
  2. 片側の収縮で頭部を同側回旋。

神経支配:後頭下神経(第1頸神経後枝)

上頭斜筋

起始:環椎横突起

停止:大後頭直筋停止の上部

作用:

  1. 両側の収縮で頭部後屈。
  2. 片側の収縮で頭部を同側に側屈させ、反対側へ回旋させる。

神経支配:後頭下神経(第1頸神経後枝)

下頭斜筋

起始:軸椎棘突起

停止:環椎横突起

作用:

  1. 両側の収縮で頭部後屈。
  2. 片側の収縮で頭部を同側に側屈させ、反対側へ回旋させる。

神経支配:後頭下神経(第1頸神経後枝)

ストレッチ方法

後頭下筋群は、とても筋長が短く操作が難しい筋肉ですので、ストレッチは容易ではありません。

頭部屈曲方向に他動的にストレッチを行ったり、牽引を加えながらストレッチする方法もありますが、僕自身がおすすめするのは、ダイレクトストレッチです。

ダイレクトストレッチとは、筋繊維に対して直接的に圧刺激を加えるものです。

なぜダイレクトストレッチが良いかというと、後頭下筋群の4つの筋肉それぞれを個別でストレッチできるからです。

起始・停止の骨さえ触診できれば、筋腹を探るのはそれほど難しいものではありません。それにより、個々の筋肉へのアプローチと効果判定を行うことが可能となり、病態の解釈につなげやすくなると考えております。

まとめ

後頭下筋群は、頭部のアライメント調整に重要な役割を持っています。

その役割は、4つの小さな筋群の細かな動きによって可能となっています。頭部や頸椎のアライメントにより影響を受けやすい筋群です。

起始停止や位置関係を把握することで、様々なリハビリへ応用することができるでしょう。後頭下筋群は、頭痛とも密接な関係があります。
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