超音波療法の禁忌とは?効果・適応・使用方法についてもご紹介します

超音波療法は、リハビリ現場において広く活用されています。

比較的安全な治療法である超音波療法ですが、患者さんに害を与えないように注意して使用する必要があります。

 

いきなりですが、超音波療法について検索される方は、禁忌を知りたい場合が多いと思われますので、最初にそれを記載します。

超音波療法の代表的な禁忌は、以下の通りです。

  • 悪性腫瘍
  • 妊娠
  • ペースメーカー
  • 眼球
  • 血栓性静脈炎
  • 知覚障害
  • 中枢神経系組織
  • 急性炎症
  • 生殖器官

金属挿入部位への照射も可能ですが、人工関節で使われている可能性のある、合成樹脂構成部分やセメントに対しては禁忌となりますので注意が必要です。

さらに詳しく超音波療法について知りたい方は、次の目次より進んでください。

超音波とは?

超音波とは、「人間の耳に聞こえないほど周波数の高い音波」です。これは、20KHz(キロヘルツ)以上の音波となります。

1ヘルツは、「1秒間に1回の周波数・振動数」のことです。言い換えれば、「1秒間に繰り返されるこの波の数」のことです。

下の図をご覧ください。

この図では、1秒間に波が2回(振動数が2サイクル)あります。よって、2ヘルツ(Hz)ということになります。

よって、20KHz=20000Hzなので、超音波というのは毎秒20000回以上の波が起きているということになります。

超音波療法で使う周波数

この超音波を使った物理療法が『超音波療法』です。

通常の治療用超音波は、約2~5㎝の深さに対して用いられ、1MHzや3MHzの周波数が利用されています。

1MHz=1000000Hzなので、毎秒100万回や300万回の波が起きているわけですね。

1MHzと3MHzの使い分け方

1MHzと3MHzどちらの周波数を使うかということですが、これは深さに応じて、どちらかの周波数を選んで下さい。

簡単に言えば次の通りです。

深い組織に対しては1MHz
浅い組織に対しては3MHz

1MHzは、最大5㎝の深さの場合に使います。
3MHzは、1~2cmの深さの場合に使います。

運転サイクル(duty cycle)

運転のサイクルとは、超音波が照射されている時間の割合のことであり、パーセントで表します。

振動が連続していれば運動サイクルは100%となり、振動の連続性が減少すればパーセンテージが減少していきます。

運動サイクルは、超音波療法の目的によって異なります。

超音波療法の目的

超音波の効果というのは、次の2つに大別されます。

  • 温熱作用
  • 非温熱作用(機械的作用)

それぞれの違いを見ていきましょう。

温熱作用

超音波療法はエネルギー変換熱による温熱作用があります。

温熱作用を目的とする超音波療法の運転サイクルは100%です。これは、「連続モード」とも呼びます。

超音波により、体の各組織を連続的に振動させることで、組織は音波を吸収して摩擦熱が発生します。

超音波の温熱作用は、代謝の促進や神経伝導速度の変化、循環改善、疼痛や痙縮の抑制、軟部組織柔軟性の改善などがあります。

これは、ホットパックなどの他の温熱を目的とする物理療法と同じ作用なわけですが、超音波の良い所は、表在性温熱効果よりも深部組織への温熱効果が得られることでしょう。

それに加え、マイクロ波と違って、金属の挿入部でも用いることができるという利点があります。

非温熱効果

超音波療法には、温熱作用以外にも、機械的効果生物学的効果というものがあります。

超音波には、温熱効果を目的とする「連続モード」の他に、「パルスモード」というものが存在します。

パルスモードの運転サイクルは、5%・10%・20%・30%・40%・50%などであり、非温熱効果を目的とします。

パルスモードでは、超音波を低運転サイクルでパルス照射することで、そのサイクルの中の作動時に生じた熱が、作動していない特に分散されることで温度の上昇が起きなくなります。

非温熱効果としては、骨折部位に超音波による微細振動による刺激を与えることで、Wolffの法則に従って骨の癒合を促進させる効果があります。

また、同じく組織深部への微細振動により、細胞膜での透過性・活性度を改善させることができます。それにより、炎症の治癒や細胞の活性化を促進します。

また、細胞間隙の組織液の動きを活発にさせることで、浮腫を軽減させる効果もあります。

 超音波の強度

超音波治療では、目的に応じた強度を選択することになります。

強度は、超音波ヘッドの面積に対する力の大きさであり、通常[W/㎠]で表します。超音波療法の強度は、3、0W/㎠以上にしてはいけません。

温熱効果を目的とする場合には、強度は0.5~2.0W/㎠の範囲で実施します。これを、それぞれの周波数に分けて考える必要があります。

1MHzでは、一般的に、強度は約1、5~2、0W/㎠で行います。

3MHzでは、一般的に強度は約0、5W/㎠で行います。

理論的には、3MHzの超音波療法では、1MHzよりも3倍組織温度を上昇させます。よって、このように1MHzの3分の1以下の強度で実施するべきなのです。

超音波療法の実施中は、実際に感じる温感に注意を払いながら、不快感が出ないようにします。不快感を感じた場合は、中止するか、直ちに出力を下げる必要があります。

超音波療法では、「この強度であれば、このくらい温度変化が起きる」というのが明確なものなわけではありません。部位や深さによって温度が実際にどのくらい上昇するかどうかが変化するので、予測が困難なのです。

よって、短絡的に強度を決めるのではなく、組織の状態や実際の感じ方、また超音波の性質を見極めながら使用する必要があります。

トランスデューサーの動かし方

トランスデューサーとは、超音波ヘッドとも呼ばれる、超音波が照射される治療導子のことです。

超音波は空気中に伝達されないため、ヘッドと皮膚との間には、カップリング剤という伝搬物質が必要となります。

ヘッドを動かす際には、ストローク法と呼ばれる直線的な移動方法や、回転法と呼ばれる、円を描きながらの移動させる方法を使います。

大体3~4㎝/秒の速度くらいの速度で、ヘッド面が治療面に対して常に平行になるように保持しながら行う必要があります。

 まとめ

超音波療法は、他の温熱療法にはないメリットがいくつかあります。それに加え、非温熱療法の可能性も注目すべき部分です。

上手に使用することで、治療の幅を広げられると思います。使用する際には、禁忌や使用法をよく理解した上で実施するようにして下さい。